SDGsの採択をきっかけに、エシカルが注目を浴びています。
エシカルとは倫理的、道徳的といった意味です。
「エシカル消費」「エシカルファッション」のように使用します。
たとえば、発展(開発)途上国を支援する「フェアトレード商品」はエシカル消費の1つ。
購入すれば、倫理的な活動に貢献できます。
今回は身近にあるフェアトレードコーヒーを交えながら、エシカルやフェアトレード
についてご紹介します。
エシカルとは
エシカルは英語で「ethical」と表記し、日本語では倫理的、道徳的という意味です。
倫理的、道徳的な行動を「エシカル◯◯」と呼びます。
たとえば、「エシカルコーヒー」とは倫理的なコーヒーのこと。
コーヒー豆の大半は途上国で生産されますが、利益を優先し、
先進国の企業に安く買い叩かれる場合があります。
倫理的な取引で買い付けたコーヒーが、エシカルコーヒーです。
また、よく使われるのは「エシカル消費」。
エシカル消費とは人や地域、社会、環境に配慮した
商品・サービスを消費することを指します。
簡単にいえば、人や環境に良い効果をもたらす商品・サービスを積極的に選び、
購入することです。
エシカル消費には次のような行動が挙げられます。
- 食べ残しをしない(食品ロスの削減)
- 被災地の商品を購入する(社会・地域への貢献)
- オーガニック商品を購入する(環境破壊を防ぐ)
エシカルの歴史
エシカル消費は、イギリスで始まったといわれています。
1989年にイギリスで専門誌『エシカルコンシューマー』が創刊され、その後
『エシカル・トレード・イニシアチブ』というエシカルビジネスの協会が発足。
イギリスを発端に、ヨーロッパで2000年以前からエシカル消費の概念が広まっていき、
アメリカや東南アジア、アフリカなど、他の地域にもエシカル消費の流れが広まりました。
エシカル消費が注目を浴びたきっかけの1つが、バングラデシュの首都ダッカで起きた
商業ビルの崩壊事故。
崩壊前日に大きな亀裂が発見されたにもかかわらず、ビル上階の縫製工場は通常のまま
働くよう指示。
結果として死者1,120人以上、負傷者2,500人以上の大惨事を招きました。
この縫製工場に依頼していたのは、欧米のアパレル企業。
事故をきっかけに、労働者の劣悪な労働環境が判明し、
エシカル消費やエシカルファッションが注目されるようになりました。
しかし、日本ではエシカル消費の動きがまだまだ鈍く、2014年5月に
『日本エシカル推進協議会』が誕生したばかり。
消費者庁が実施した調査では、エシカル消費という言葉の認知度は2016年度で6.0%。
2019年度では12.2%と約2倍に増えましたが、高いとはいえません。
一方でエシカル消費への興味はおよそ60%(2019年度)にのぼったため、
日本でのエシカル消費はこれから期待できそうです。
近年エシカルが注目されている理由
地球温暖化問題に関して、「産業革命以前と比べて世界の平均気温上昇を2℃低くし、
1.5℃に抑える努力をする」という目標が掲げられた、2015年のパリ協定。
同じく2015年に採択されたのが、SDGs(持続可能な開発目標)という
貧困やエネルギー、環境などの問題を解決するため、国際目標である17のゴール。
たとえば、ゴール1は「貧困をなくそう」、ゴール13は「気候変動に具体的な対策を」
と定めています。
その内の、ゴール12は「つくる責任 つかう責任」とされエシカル消費に関わる目標です。
持続可能な消費と生産のため、商品・サービスを生み出す事業者だけではなく、
消費者の「つかう責任」も求められます。
パリ協定やSDGsの目標を達成するため、近年エシカルが注目され、継続して行なう、
エシカル消費が重要とされるようになりました。
フェアトレードとは
途上国で作られた原料や商品が、信じられないほど安い価格で販売されるケースがあります。
安く売るために、
- 生産者に正当な対価が支払われない
- 農薬を過剰に使用し、生産性を上げる
- 生産者の健康に悪影響をおよぼす
などの問題が生じています。
こういった問題の解決を導くのが、フェアトレードです。
フェアトレードは公正な貿易、公平な貿易のように訳します。
生産者や労働者の労働環境の改善、自立を目指すため、途上国の原料や商品を
適正な価格で購入する貿易のことです。
フェアトレードはエシカルな貿易ともいえます。
フェアトレード商品の購入はエシカル消費の1つ
『国際フェアトレード認証ラベル』が付いている商品が、フェアトレード商品です。
ラベルを付けるには、次の3つの基準を満たす必要があります。
- 経済的基準(最低価格の保証、長期的な取引など)
- 社会的基準(安全な労働環境、強制労働の禁止など)
- 環境的基準(有機栽培の奨励、遺伝子組み換え品の禁止など)
コーヒーは代表的なフェアトレード商品です。
コーヒー豆を生産する地域のほとんどが途上国。
コーヒー豆の買取価格は激しく変動するため、生産者が利益を得られない場合もあります。
国際フェアトレード基準では「最低価格」を設けています。
コーヒーの価格がいくら下落しても、最低価格以上を生産者組合に保証し、
生産者の生活を支えているのです。
他にも紅茶、チョコレート、果物など、さまざまな商品に
国際フェアトレード認証ラベルが付いています。
フェアトレード商品を購入すれば、エシカル消費につながり、途上国の生産者や労働者を
支援できます。
おすすめのフェアトレードコーヒー
フェアトレードコーヒーはスーパーやネットでも購入できる、身近なフェアトレード商品。
おすすめのフェアトレードコーヒーを5つご紹介します。
スターバックス「フェアトレード イタリアン ロースト」
スターバックスはエシカルなコーヒー豆の調達を目指し、独自の取り組みを進めています。
高品質なコーヒー豆の生産を長期的に続けられるように、国際環境NGOの協力を得て
「C.A.F.E.プラクティス」を導入。
コーヒー豆の品質や生産者の労働環境などのガイドラインを設け、
30万人をこえるコーヒー生産者が参加しています。
スターバックスで販売されているフェアトレードコーヒーは
「フェアトレード イタリアン ロースト」。
ラテンアメリカで生産されたコーヒー豆を使用しています。
深煎りで酸味は少なく、しっかりとした苦味が特長。
また、スターバックスは毎月20日を「エシカルなコーヒーの日」とし、
こちらのフェアトレードコーヒーをアイスコーヒーで提供しています。
URL:https://product.starbucks.co.jp/beans/dark/4524785083431/
マウントハーゲン「オーガニック フェアトレード インスタントコーヒー」
マウントハーゲンはドイツのブランドで、オーガニックコーヒー豆のみを使用しています。
コーヒー豆を生産する農家へボーナス払いや保証価格での受け入れを行ない、
フェアトレードを長年続けている企業。
「オーガニック フェアトレード インスタントコーヒー」は高品質なアラビカ豆を
100%使用。
パプアニューギニア、ペルー、メキシコの有機コーヒー豆が使われています。
深く豊かな香り、コクを楽しめます。
フェアトレード認証のインスタントコーヒーはあまり見かけません。
インスタント派の方はぜひ。カフェインレスタイプもあります。
オンラインの他、カルディの店舗でも購入できるようです。
URL:https://www.choosee.com/item/オーガニック-インスタントコーヒー-新パッケージ/
ピープルツリー「フェアトレードコーヒー・コーヒーバッグ・タンザニア」
ピープルツリーは、フェアトレード商品専門のブランド。
ファッションアイテムや雑貨、食品など多数のフェアトレード商品を取り扱い、
フェアトレードコーヒーの種類も豊富。
現在はペルーとラオス、タンザニアのフェアトレードコーヒがあります。
「フェアトレードコーヒー・コーヒーバッグ・タンザニア」は中煎りで、
フルーティーな酸味と芳醇なコクが魅力。
コーヒーバッグをカップに入れ、熱湯を注げばすぐに飲めます。
ピープルツリーでは時期によって、フェアトレードのチョコレートやドライフルーツも
販売しています。コーヒーのお供にもおすすめ。
TRAYCLE「メキシコ(マヤビニック)中煎 ドリップパック」
千葉県館山市にある「TRAYCLE Market&Coffee」では、
フェアトレード商品や環境に優しい商品が豊富にそろっています。
マヤビニックとは「マヤの人々」という意味で、マヤビニックコーヒーが栽培されて
いるのは貧しい先住民が多い地域。
「メキシコ(マヤビニック)中煎 ドリップパック」は農薬と化学肥料を一切使わずに
栽培されたコーヒー豆を採用。
やわらかく上品な口当たり、チョコレートのような苦味や甘さを味わえます。
店舗は大正初期の建築物をリフォームし、カフェも併設されています。
お近くの方はぜひ足を運んでみてください。
URL:http://trayclemarket.com/?pid=104773729
パルマルシェ「カフェ・ティモール 有機コーヒー」
パルマルシェは特定非営利活動法人パルシックが直営する、オンラインの
フェアトレードショップ。
パルシックの主な活動は民際協力(市民と市民が協力)とフェアトレード。
フェアトレード商品は環境に配慮した方法で作られ、商品の売上は事業に還元されます。
「カフェ・ティモール 有機コーヒー」に使われているのは東ティモールのマウベシ郡で
生産されたコーヒー。
パルシックはマウベシ農業協同組合の組織化を支援し、長年フェアトレード価格での
販売を続けています。
やさしい甘み、やわらかな苦味やコクが特長。中深煎りで、豆または粉から選べます。
URL:https://parmarche.com/SHOP/C002.html
まとめ
エシカルやフェアトレードと聞くと、どこかとっつきにくいイメージを
持たれるかもしれません。
しかし、普段飲んでいるコーヒーをフェアトレードコーヒーにかえるだけで、
地球環境の改善や社会貢献につながります。
今の状態では地球温暖化が進み、世界平均気温は上昇する一方。
また、「とにかく安く買えればいい」という考えだと持続可能な消費は難しいでしょう。
エシカル消費を意識し、ぜひフェアトレード商品を取り入れてみてくださいね。
<参考文献>
・世界のエシカルブランドと中国におけるエシカル動向に関する考察
・1% for the Planet(patagonia)
・エシカル消費から始める社会貢献(日本エシカル推進協議会)
・今さら聞けない「パリ協定」~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~(経済産業省資源エネルギー庁)
・エシカル消費普及・啓発活動(消費者庁)
・日本におけるフェアトレードの普及と今後のあり方(東北大学)
・フェアトレードの歴史と「公正」概念の変容(立命館経済学)
・国際フェアトレード基準(フェアトレードジャパン)
・なぜフェアトレード?(フェアトレードジャパン)
・エシカルな調達(スターバックス)
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