ご近所付き合いは必要?|めんどくさいけど助け合えるメリットも

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外山ゆひら

フリーライター。哲学や心理学、芸術文化の分野に関心が高く、対人関係やコミュニケーション、生き方に関する記事を中心に寄稿。OTEKOMACHIの連載『恋活小町』を2012年より執筆中。産業カウンセラー・心理相談員資格有。


皆さんはご近所付き合い、上手にできている意識がありますか?

「できればしたくない」「面倒だな」と思うこともあるでしょうが、

その場所にしばらく腰を据えるのであれば、完全に無関心、

というわけにはいかないですよね。

 

株式会社ウェブクルーの調査(2016年)によれば、

「ご近所付き合いは必要だと思う」と答えた人は、

30代〜50代すべてで6〜7割に上っており、60代以上では8割以上に。

 

その理由として、「災害時など緊急時に助け合うため」「防犯のため」

といった理由が多く挙がっており、コロナ禍や自然災害などで

暮らしの不安が増大している近年は、

よりその意識が高くなっていることも予想されます。

 

いざというときに助け合うためには、

普段から多少のコミュニケーションは必要ですし、

そばに住んでいる以上、「仲違いしたら関係を絶てばいい」

というわけにもいかないのが、ご近所付き合い。

この記事では、ご近所付き合いを気持ちよく続けていくコツをご紹介します。

 

戸建暮らしのほうが、ご近所付き合いが濃密!?

「ご近所付き合い」とひと口にいっても、

そこに暮らす人たちが感じる”ちょうどいい距離感”には、

かなり地域差があります。

一般的に淡白な付き合いをすることが多い都市エリアの中にも、

昔からの下町など、ご近所同士のつながりが濃い地域もあります。

 

また住居形態によっても、差があるようです。

2018年のリビン・テクノロジーズの調査(男女300名対象)によれば、

「ご近所さんを助けたり、助けられたりしたことはあるか?」という質問に対し、

戸建て居住者は約8割が「はい」と答えたのに対し、

集合住宅居住者は5割強にとどまっており、

「戸建」に住んでいる人たちのほうが、

より濃密な近所づきあいをしていることがうかがえます。

 

その居住エリアに住む人たちが、どの程度のご近所付き合いをしているかは、

引越前後の時期に探っておくのがベター。

その地域における”常識”を読み間違えて第一印象が悪くなってしまうと、

その後の付き合いにも影響が出かねません。

早めに不動産屋さんやお隣さんなどに聞いておくといいでしょう。

 

深入りせずとも、「感じの悪くない人」を目指せばOK?

読者の皆さんの中には「地域のつながりを持ちたい、せっかくだから仲良くしたい」

という考えの人もいるとは思いますが、

ご近所付き合いが面倒な人、できるだけ深入りをしたくない人の場合は、

「よくは知らないけれど、感じの悪くない人」

という立ち位置を目指すのが最善かと思います。

 

冒頭の調査で、「ご近所との関係性が良好」だと答えた人が、

ご近所付き合いを保つために気をつけている行動として

挙げられているトップ2は、「あいさつをする」(78.4%)と

「ゴミ出しなど決められた居住ルールを守る」(67.8%)。

続いて、「地域行事に参加する」(49.7%)、

「引越し時の挨拶をする」(47.4%)となっています。

 

つまり普段、顔を合わせたときにきちんと「挨拶」をし、

ゴミ出しや騒音などの基本的な「居住ルール」を守っていれば、

親密に付き合わなくても、“感じのいいご近所さん”でいることはそう難しくない、

と言えそうですね。

 

その上で、仕事や趣味の活動、子どもの送迎等々で

「いつも何かと忙しそうな人」というキャラクターに

徹しておくのも一案です。

そうしていれば、有志の地域行事や井戸端会議などに

頻繁に顔を出さなくても悪目立ちせず、

穏やかなご近所付き合いを続けていきやすいでしょう。

 

「噂や悪口が好きな人」への対処法

ご近所付き合いで厄介なのが、噂や悪口。

よその家の噂話をぺらぺらと話す人、「ねえ、〇〇さんって失礼だと思わない?」

などと悪口に近い話題を持ちかけてくる人もいますよね。

あまりにひどい悪口を吹聴して歩くご近所さんに、

ビシッと注意して黙らせた……という実例もありますが、

それはさすがに最終手段。

軽い噂や悪口であれば、以下のような工夫で対処してみるのがおすすめです。

 

噂や悪口に疲れたら「ポジティブ・ワード」で返す

まずひとつ、噂や悪口にうんざりしたときは、

やんわりと前向きな言葉に換えて相槌を打つ方法です。

 

「〇〇さんって挨拶すらしないのよ」と言ってきたら、

「静かな方ですよね」と返したり。

「〇〇さん、いつも偉そうじゃない?」と言ってきたら

「堂々とされていますよね」と返したり……等々。

ポジティブな言葉に言い換えて返事をしていると、

噂や悪口はヒートアップしにくいですし、

「悪口に賛成(加担)してくれた」という印象も持たれにくいです。

 

先手を打って、相手を「褒めて」みる

また、他人を悪く言いたがる人は内心、

自分に自信がなく「相手の評判を下げることで、自分を高めたい」

という気持ちが潜んでいることも少なくありません。

その気持ちを刺激することで、噂や悪口を回避するのも一案です。

 

たとえば噂や悪口を言う人には、先手を打って

「そう言えば、〇〇さんのお子さんすごいですよね、娘に聞きました」

などと相手に関する話題を持ちかけてみる。

認めてほしい気持ちが強い人にとって、

自分が褒められる話題は大好物。

自然に話題が切り替わることも期待できます。

 

悪口を通じて「仲良くなりたい」のかも!?

また、悪口や噂話をやたら持ちかけてくる人の場合、

実は「仲良くなりたい」という動機を持っているケースもあります。

社会学の専門家も「かげぐちは、もっとも原始的でかんたんな人間関係形成方法」

「かげぐちには、それほど親しくないひと同士を

かんたんに結びつける作用がある」と指摘をしています。

参照:「ほんとはこわい「やさしさ社会」森真一著/筑摩書房発行

本気で誰かを批判したいわけではなく、

こちらと仲良くなりたくて悪口を持ちかけてきているのかも……?

と感じるときは、趣味や出身地、テレビや地域行事など、

別の共通の話題を持ちかけるようにしてみましょう。

「噂や悪口以外でも仲良くなれそうだ」と感じてもらえれば、

必要以上に言ってこなくなる可能性もあります。

 

あまりに噂話や悪口がひどくて

「付き合いきれない」と思うご近所さんならば、

無理して関わりを続ける必要はないと思いますが、

こちらが心に余裕を持って接することで

よい関係性を築けることもありますので、

ぜひ試してみてくださいね。

 

意外なメリットもあり|ご近所さんの「自慢話を上手に聞き流す」コツ

自慢が多いのは、認めてもらいたい人!?

もうひとつ、ご近所付き合いで厄介なのが「自慢話」の類。

自分のことはもちろん、夫や親戚の地位、収入、

子どもの優秀さなどの“家族自慢”が好きな人もいますよね。

 

そんなときは、噂や悪口と同様「認めてほしい気持ちが強いんだな」

という視点を持ち、一歩引いて接してみるのがおすすめです。

「周りに認めてくれる人が少ない環境にいるのかもしれないな…」

なんて思うと、不快感も多少、軽減することでしょう。

 

「有用な情報」を得られるメリットも!?

また自慢話が多い人は、情報通や物知りであることも少なくないもの。

「地域のことで気になってたことを聞いてみよう」

「何か新しい話題を知れるかも」など、

自分に有益な情報を得ちゃおう……

というメリット意識を持っていると、

あまり不快にならずに話を聞けると思います。

 

持ち物自慢する人は、経済に貢献している人!?

家や持ち物の自慢話をされたときは、

「経済を回してくれて助かる〜」なんて視点を持って

聞いてみるのも良いかもしれません。

 

家や持ち物を自慢する人は、それなりにお金を使っている、ということ。

消費低迷が叫ばれる今の時代、積極的な消費で

経済を回してくれる人がいなければ、

回り回って自分たちのお給料も落ちてこない。

 

そう考えれば、「こういう人も社会には必要よね」

「どんどん経済に貢献してください」なんて気持ちも湧いてきて、

深刻にならず、聞き流しやすくなるでしょう。

 

ちょっとした自慢話に過剰反応しないスキルを身につけると、

ご近所以外の人づきあいでも、グンとストレスが減ると思います。

以上、ご近所付き合いに役立つヒントをご紹介しました。

宜しければ、ぜひ参考にしてみてくださいね。


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