瞑想とは歴史のある心身療法で、
平穏感や身体のリラックス感を高め、
心身のバランスや病気にうまく対処するため、
健康やウェルビーイング(well-being)の増進のために
利用されてきました。
瞑想というとスピリチュアルなイメージが強いですが、
その効果についての科学的なエビデンスから
世界に500種類以上ある瞑想のコツをご紹介いたします。
瞑想の効果についての科学的なエビデンス
血圧の低下
血圧に対する瞑想の有効性を評価するために行われた複数の研究報告では、
60才以上の被験者において、瞑想は血圧を下げるのに有効であることがわかり、
薬物療法の代替手段となりうることが示されました。
うつ病と不安神経症の軽減
不安神経症に対するマインドフルネス瞑想の効果の研究によると、
補助的な療法としてうつ病の軽減に前向きな効果があり、
その効果が6ヶ月以上続く可能性があることが示唆されています。
アメリカではうつ病や不安神経症の補助的な療法として利用されています。
不眠症の改善
合計330人を対象にした、一定の研究モデルの条件を満たした6つの試験によると、
マインドフルネス瞑想によって、起きている間の総時間と睡眠の質が
大幅に改善することが明らかにされました。
慢性的な痛みの軽減
一定の研究モデルの条件を満たした38件の研究報告では、
マインドフルネス瞑想は痛みのわずかな減少に関わっていることがわかりましたが、
その有効性は決定的ではないとされています。
共感や思いやりを生む
2018年に発表された、瞑想を含む同質の研究26件、
被験者1714人の分析結果によると、
健康な成人がグループ形式で8-12週間に渡って、
思いやりの瞑想、もしくは愛情深い瞑想を行ったことで、
小から中程度の効果があったと報告されています。
集中瞑想とは?
「集中瞑想」とは、意識的に脳をデフォルト状態に向かわせるための瞑想。
「サマタ瞑想」と呼ばれることもあります。
「ある特定の対象に意図的に注意を向け続けることで、集中力を育む」
効果が期待できます。
注意を向ける対象は何でもよく、物理的なもの、抽象的なイメージ、
複雑な思考など、ある特定の物事のみに注意を集中し続けます。
現代で教えられている集中瞑想では、自分自身の「呼吸」を対象として
用いられているケースが多いです。
集中瞑想のコツ
集中とは、外部の刺激に気付かないくらいに集中する
という意味ではありません。
呼吸や風の音など、何か「一つのものに強く集中する」ことを表しています。
この意味をきちんと理解して瞑想を行うようにしてみてください。
集中できない場合
注意が逸れてしまい意識がなかなか一つのものに集中できない、
マインドワンダリング(心がフラフラと彷徨っている状態)という場合は、
焦らず「現状を受け入れる」ことが大切です。
マインドワンダリングを受け入れて、気持ちを落ち着けます。
そして、ゆっくりと呼吸を戻すように意識しましょう。
集中瞑想のやり方
- 楽な姿勢になり、リラックスして呼吸を整えましょう。
- 呼吸をする時の空気の流れに意識を集中させます。
- 吐く息、吸う息の空気の流れや、それに伴うお腹の凹みや膨らみの変化に意識を向けます。
- さらに注意深く、鼻先から空気が入って気道を通り、肺が膨らむのを感じ、身体中に酸素が行き渡るのを感じます。
- そして、身体中から肺、気道を通って、鼻先から空気が外に出ていくのを感じます。
観察瞑想とは?
観察瞑想とは、2600年前にブッダが発見・実践し、
悟りを開いたといわれている瞑想法。
「ヴィパッサナー瞑想」とも呼ばれています。
ヴィパッサナー とは、「物事をあるがままに見る」という意味で、
自己観察によって自己浄化を行う方法です。
観察瞑想によって、社会性や他者への配慮をつかさどる脳の部位に
プラスの作用が見込めるというデータも報告されています。
観察瞑想のコツ
観察瞑想では、自身の考えていることや感じていることを
「第三者が読み上げる」ように、セルフ・ナレーティングするのがポイントです。
「雨が降っている」とか「朝食のメニューのことを考えている」などです。
集中できない場合
特に体調が悪いときなどは、スムーズに瞑想状態に入りにくくなることがあり、
瞑想方法の中でも、初心者には難易度が高い瞑想方法です。
一般の人は集中瞑想から観察瞑想に入るまで、
おおむね10分はかかることが多いといわれていますが、
早く瞑想状態に入りたいと焦らずに、
気持ちを落ち着けてじっくりと取り組んでみましょう。
観察瞑想のやり方
- 楽な姿勢になり、リラックスして呼吸を整えましょう。
- まずは呼吸をする時の空気の流れに意識を集中させます。
- 瞑想中は批判的になったり、白黒や善悪の判断をしようとせずに、事実をそのままの状態で観察していきます。
- 一つのものに集中している時に何か考え事をしだしたら、「考え事をしだした」という事実をそのまま受け入れ、ただ観察しましょう。
マインドフルネス瞑想とは?
マインドフルネスは1970年代よりアメリカを中心に
科学的・医学的な研究が進み、
効果が最も実証されている瞑想のひとつです。
マインドフルネスとは、「今この瞬間を大切にする」
という生き方のことです。
マインドフルネス瞑想を実践することで、集中力が高まったり、
気持ちがリラックスできたりする効果を見込めます。
また、洞察力や注意力のアップなど、自己鍛錬の能力が高まることも
期待できます。
マインドフルネス瞑想のコツ
たった1回マインドフルネスを実践しただけで、
その効果を実感するのは非常に難しいものです。
マインドフルネスは1日10分程度を目安として、
まずは4週間ほど続けてみましょう。
すると、心身に少しずつ変化が見られるようになります。
集中できない場合
雑念が頭に浮かんだら、一回目は自然に流しましょう。
その後、二回目の雑念が浮かんできたら、
それに対して自分がどのような感情を持っているのか、
心のなかで言葉にして反復します。
そして、再び呼吸に意識を向けてみましょう。
マインドフルネス瞑想のやり方
- 楽な姿勢になり、リラックスして呼吸を整えましょう。
- まずは呼吸をする時の空気の流れに意識を集中させます。
- 何か考えていることに気づいたら、それを追いかけず、「考えた!」とココロの中でつぶやいて、意識を呼吸に戻します。
- 再び呼吸に意識を向けることを繰り返しましょう。
少しづつ生活に取り入れよう
マインドフルネスは、交感神経と副交感神経に大きく影響します。
急激にその切り替えが行われると幻聴が聞こえたりする場合もあるそう。
また自分が不安に感じる部分を深く考えすぎて、
それがネガティブに働く場合もあるようです。
ですので、まずは「観察」することから始めて、
少しづつ自分と向き合っていくと新しい発見が生まれるかもしれませんね。
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