保護犬カフェとは?里親募集デビューするまでの活動内容も紹介

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伊藤幸子

森の中でリスや野鳥に囲まれて文筆活動に従事。 翻訳の世界から創作の世界へ転向して20年。 ライター歴は8年。 日本の伝統文化や精神世界、健康や電子出版など、幅広いカテゴリーのライティングに取り組みながら、自然との共存共生をテーマに命のつながりにフォーカスしたファンタジー小説を執筆中。 愛犬家。


犬と一緒に訪れることができるカフェのことを

「ドッグカフェ」と呼びますが、

それとは別に最近注目を浴びはじめている

「保護犬カフェ」とはどんなカフェなのでしょう。

そう聞かれて、

「犬好きな人が保護犬たちに囲まれてお茶を飲めるところ…?」

「保護犬のことを世間に知ってもらうためのいわば啓蒙の場…?」

「保護犬とお見合いできるカフェ…?」

と、答える人が多いようです。

 

実はどれも間違ってはいないのですが、

それだけでは正確に「保護犬カフェ」を説明しているとは言えません。

 

そこで今回は、この「保護犬カフェ」がどんな目的をもったカフェなのか、

保護犬に関してどんな活動をしているのか、

里親になりたい人にとってどんな機会が提供されるのか、

などを紹介したいと思います。

 

保護犬カフェとはどんなところ?

保護犬カフェには、人間の都合や震災で行き場を失った犬、

劣悪な多頭飼い環境や悪質ブリーダーからレスキューされた犬、

ペットショップで売れ残った犬など、さまざまな保護犬がいます。

 

保護犬カフェとは、一口で言うと、

そういった保護犬との出会いの場を提供しているカフェのことです。

出会いの場といっても、通常のマッチングや譲渡会とは

趣向が異なります。

 

譲渡会は、それを主催している団体やコミュニテイーに登録し、

予約をした上で参加するのが一般的なルールですが、

保護犬カフェは、愛犬家ならば休日以外は

いつでもだれでも訪れることが可能です(※)。

 

ここでは、その保護犬カフェの目的や形態、活動内容などを紹介していきます。

 

保護犬カフェの目的とは?

保護犬カフェの目的は、そこにいる保護犬たちが

よい家族と巡り会えることにありますが単にそれだけではありません。

 

犬を飼いたい。だけど諸事情により家では飼うことができない。

そういった犬好きの人たちに、犬とゆっくり接することができる場を

提供することも保護犬カフェの目的の1つ。

 

保護犬用のメニューもあって、そこにいる保護犬たちに

おやつやご飯をあげることができるカフェや、

保護犬たちのお世話をしてくれるボランティアさんを

募集しているカフェもあります。

 

保護犬の中には、人間に虐待されたり遺棄されたりして

心や身体に傷を負っている犬もいます。

そういう犬には、人間の優しさや、

人間と共存共生するための社会性を学ぶ場が必要です。

保護犬カフェは、そういった場を提供することも目的としています。

 

カフェで飲食をしたり、そこで販売しているペットグッズなどを

購入することで活動支援をしてもらうことも目的の1つです。

 

また、保護犬たちと接している写真を

インスタグラムやfacebookなどにアップしてもらえば、

保護犬たちの実態や保護犬カフェの存在を

たくさんの人に知ってもらうことができます。

救うためにはまず知ってもらわねばなりませんので、

こういった広報支援も保護犬カフェや

そこにいる保護犬たちにとっては大きな力になります。

 

このように、里親になれなくても、いろいろな側面から

保護犬たちを応援することができるところ、

それが保護犬カフェの大きな魅力となっているようです。

 

保護犬カフェの活動内容は?

保護犬カフェの中には、運営している組織や団体によって、

獣医院やペットホテル、トリミングサロン、ペットグッズショップなどに

併設されているものがあります。

愛犬同伴で訪れることができる保護犬カフェの場合、

ドッグランがついているところもあります。

 

どのような形態をとっていても、保護犬カフェでは、

次の基本を守って活動を行っています。

  1. 保護犬を応援したいと思う人ならばだれでも利用OKとする
  2. カフェにて飲食をしてもらう
  3. カフェでの収益を保護活動資金に充てる
  4. 保護犬の引き取りは義務付けない
  5. 里親希望者には審査を行って譲渡を進める

 

上記の中で大切なのが5番目。

お気に入りの保護犬ができて引き取りたいと思ったら、

その希望を申し出ることは可能ですが、すぐに譲渡されるわけではありません。

 

これは、保護犬カフェだけに限らず、どこの保護団体でも同じですが、

二度と保護犬たちを悲しい目にあわせないためにも

里親の資格審査は慎重に行われます。

 

犬の飼育経験の有無、先住犬の有無、飼育環境、家族構成、

年齢、職業などが判断基準となっていますが、

引き取った後も、飼育状態を確認するためのルールが

設けられているところもあるようです。

 

また、保護犬だから無償で引き取れると思う人もいるようですが、

譲渡自体無償でも、それまでにかかったワクチンや

去勢・避妊手術などの医療費に関しては、

実費で請求される場合が多いので、そういった諸条件について

事前に確認しておく必要があります。

 

事前の確認事項はありますが、それが命をあずかるという行為に付随する

責任と義務だということを理解しましょう。

ましてや、過去、心身共に悲惨な経験をしてきた保護犬たちです。

今度こそ幸せになってもらいたい、という保護団体の思いを

しっかり受け止める覚悟が必要であることを忘れないようにしたいものです。

 

東京・大阪エリアにある保護犬カフェ

全国的に広がりつつある保護犬カフェ。

保護犬には関心があるけれど、「いきなり譲渡会は、ちょっとなあ…」、

と思っている人には、保護犬と触れ合うためのおすすめの場です。

 

ここでは、今、関東エリアと関西エリアので注目を浴びている保護犬カフェを

紹介します。

 

関東エリア

NPO法人みなしご救援隊 犬猫譲渡センター
保護犬と保護猫に触れ合うことができるカフェ。愛犬同伴可能です。
住所:東京都世田谷区玉川田園調布2-12-10-1F
連絡先:090-8996-4487
公式HP:http://inashigo-joutocenter.com/tokyo
不定期営業のため電話で確認のこと

CATS&DOGS CAFÉ
犬エリアと猫エリアあり。犬エリアは愛犬同伴可能です。看板犬サランちゃんがお出迎え。
住所:東京都墨田区向島5-48-1
連絡先:03-5247-7979
公式HP: http://cats-and-dogs.cafe/cafe/
保護犬がいない場合もあるので電話で確認のこと。
当面の間完全予約制

いぬねこcafeLua
トリミングサロンとペットホテル併設。保護犬と保護猫に出会えるカフェ。
住所:東京都町田市成瀬1-2-7-105
連絡先:042-850-8180
公式HP:http://inunekolua.com/
完全予約制

キドックスカフェ
「保護犬を幸せにするカフェ」をキャッチフレーズに、
社会性を身につける必要のある元野犬や捨て犬だった
雑種や成犬をフィーチャーしてデビューさせています。
住所:茨城県つくば市吉瀬511-5
連絡先:070-5088-6436
公式HP:http://cafe.kidogs.org/
愛犬同伴はテラス席のみ。予約制。

犬猫譲渡団体 With Vets ~獣医とともに~
ペットメディカルクリニック内にある保護犬カフェ。
住所:さいたま市大宮区堀の内町1-405-2アプローズ大宮1F
連絡先:048-782-8362
公式HP:http://www.with-vets.com/
予約制

HOGOKEN CAFE®
日本ではじめて保護犬カフェを開いたNPO法人ラブファイブ(※)が
運営するHOGOKEN CAFE®。
関東エリアは以下の3店舗。
各店舗ごとに利用条件が異なるので、必ず事前に要確認。

①HOGOKEN CAFE® 印西店
住所:千葉県印西市原1-2 BIGHOPガーデンモール印西
連絡先:0476-37-4460
公式HP:https://www.hogokencafe.com/shop
トリミングサロン併設

②HOGOKEN CAFE® 西八王子店
住所:東京都八王子市千人町3-6-10
連絡先:042-669-0715
公式HP:https://www.hogokencafe.com/shop

③HOGOKEN CAFE® 立川店
住所:東京都立川市富士見町2-12-7 フェイズ立川101
連絡先:042-519-3452
公式HP:https://www.hogokencafe.com/shop
※NPO法人ラブファイブについては、公式HPの http://lovefive.net/ をご覧ください。

 

関西エリア

HOGOKEN CAFE®
日本ではじめて保護犬カフェを開いたNPO法人ラブファイブ(※)が
運営するHOGOKEN CAFE®。
関西エリアは犬猫合わせて8店舗(犬カフェは7店舗)。
各店舗ごとに利用条件が異なるので、必ず事前に要確認。

①HOGOKEN CAFE® 保護犬&保護猫カフェ 天神橋店
住所:大阪市北区10 大阪市北区天神橋3丁目10-30 コープ野村扇町1階
連絡先:06-6352-8311
公式HP:https://www.hogokencafe.com/shop

②HOGOKEN CAFE® 鶴橋店
住所:大阪市東成区東小橋3-14-29 ラッキープラザビル
連絡先:06-4309-8715(犬)
公式HP:https://www.hogokencafe.com/shop

③HOGOKEN CAFE® 堺店
住所:大阪府堺市北区東雲東町3-6-20
連絡先:072-230-4800
公式HP:https://www.hogokencafe.com/shop

④HOGOKEN PARK 長居店
住所:大阪市住吉区長居東4-11-5
連絡先:06-6115-8611
公式HP:https://www.hogokencafe.com/shop

⑤保護犬カフェ®︎&保護猫カフェ 寺田町店
住所:大阪市生野区生野西2-1-30
連絡先:06-6712-0715
公式HP:https://www.hogokencafe.com/shop

⑥保護犬カフェ®︎&レストラン東道頓堀
住所:大阪市中央区道頓堀1丁目東2-10
連絡先:06-7502-1221
公式HP:https://www.hogokencafe.com/shop

⑦保護犬保護猫カフェ® 川西店
住所:川西市中央町3-3 川西中央ビル1-D
連絡先:0727-55-1020
公式HP:https://www.hogokencafe.com/shop

里親犬のカフェ オンリーわん
わんことの触れ合いとわんこ達の里親探しを目的としている保護犬カフェ。
現在、新型コロナウィルス感染防止のため、入場を制限中。
里親希望者は優先的に利用できるようになっています。
必ず事前に電話またはHPにて確認してくださいね。
住所:大阪府八尾市曙川東1-13 レジデンスタカラ1F
連絡先:072-974-0808
公式HP:https://onlywan1.wixsite.com/onlywan

保護犬ふれあいカフェGUARDIAN
NPO法人DOG BASEが運営している保護犬カフェ。
基本的に予約は不要ですが、土日は混み合うために
予約することをおすすめします。
住所:神戸市兵庫区中道通1丁目2-11 金城ビル1
連絡先:078-381-9890
公式HP:http://kobeguardian.com/cafe/ 

しっぽの森
NPO法人姫路キャンフェルが運営している
保護犬&保護猫カフェ。
愛犬同伴可能なエリアあり。
セルフトリミング&シャンプールームあり(別料金)。
現在新型コロナウィルス感染防止のための利用制限あり。
住所:姫路市石倉947-1
連絡先:079-269-1115
公式HP:https://himejicanfel.wixsite.com/mysite/blank-6
完全予約制

 

保護犬が里親募集デビューするまで

いろいろな事情で保健所や動物愛護団体に保護された犬たちは、

少なからず心に傷を負っていて、

ある程度のリハビリ期間が必要となるケースが多いと言います。

中には、病気にかかっている犬もいて、

そういう場合は、治療をする期間も必要です。

 

救出保護された犬たちは、里親といっしょに暮らす際に

支障になるような問題をクリアするまで、

通常、「預かりボランティア」と呼ばれる方たちが

手分けをして自宅や施設でケアします。

 

現状では、保護犬の数に対して預かりボランティアさんの数は

まだまだ少ないために、1人が何頭もの保護犬を預かることが多いようです。

 

預かりボランティアさんは、保護犬を預かっている間は、

自分の飼い犬として、食事・散歩・身体の手入れ・

しつけ・ワクチン接種・フィラリア予防・病気の治療など

すべてに渡ってケアをします。

 

保護犬は、慣れないうちは防衛本能が働いて

吠えたり噛んだりするケースも多く、手や腕に傷をつくることもあります。

人間不信の犬は、ちょっとしたすきに逃亡してしまうことも…。

それでもボランティアさんたちは、根気よく保護犬のケアをします。

それもこれも、保護犬たちがよい家族と出会って

幸せになることを願っているからできることなのです。

保護犬たちはこの期間に人間の優しさを知り、

また人間との暮らし方を身につけていくきます。

 

動物愛護団体や保護団体の施設などでは、

散歩専門のボランティアさんや訓練専門のボランティアさん、

トリミング専門のボランティアさんがいるところもあります。

 

こうして、人間不信、噛み癖、引っ張り癖、ほえ癖、病気やけがなどの問題が、

人間との生活に支障がない程度に矯正されていき、

いよいよ里親募集デビューとなるわけです。

 

まとめ

今注目されつつある保護犬カフェ。

だれでもいつでも訪れることができるというのが特徴の1つですが、

現在は、新型コロナウィルス感染の影響で、

予約制にしたり入場を制限しているところが増えているようです。

それでも、保護犬カフェの中では保護犬たちが、

背中や首に名札をつけて、温かい出会いを待っています。

時間をつくって一度会いにいってみてはいかがでしょうか。

 

ペット文化が浸透するにつれて人々の意識も高まり、

現在は、保護犬の預かりボランティアさんや一時預かりを

行っている保護団体の数は、昔と比べようもないほどに増えました。

20年来保護活動を行っているボランティアさんの話では、

昔は、ほとんどの保護犬を救うことができずに苦しんだとのこと。

それでも、未だなお、預かりボランティアさんや施設の数が足りずに、

保健所に残されたまま殺処分を待つ犬や猫は数多くいるというのが実態です。

問題の根っこがどこにあるかはさておき、1頭でも多くの保護犬たちが

よい家族と出会えるような仕組みを考える必要がありそうです。

 

記事で紹介した各自治体の保健所や動物愛護センターでは、

譲渡会は休止していても、個別の譲渡には通常通り対応しているので、

里親になることを考えている場合はぜひ連絡をしてみてください!

各コミュニティーやブログなどでも常時里親は募集しています。

 

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