ストレスと密接に関わる心の健康を守るコツ|「心の柔軟性」とは

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さより

フリーライター。 ブログ歴14年。 女性向けWebサイトを中心に、健康や美容、恋愛などの記事を執筆。 現在はライフスタイル、FXなど幅広いジャンルを執筆中。 好奇心旺盛で多趣味。 プライベートでエッセイと4コマ漫画連載中、夫とゲームアプリ開発中。


「同じ仕事をしているのに、なぜ自分ばかりストレスが溜まるんだろう」

「コロナでずっと自宅にいて私はつらいのに、あの人は楽しそう」

同じような状況になったとき、このようにストレスの感じ方は人それぞれ違います。

 

コロナ禍や自然災害のように状況が急変すると、感じ方はより顕著に違います。

強いストレスを感じて体調を崩す人もいれば、

普段とあまり変わらずに過ごせる人もいます。

 

ストレスの感じ方が違う理由の1つは、

「心の柔軟性」の違いです。

心に柔軟性があればストレスを感じにくくなり、

つらい状況が訪れても快く過ごせます。

ではなぜ心の柔軟性には差があるのか?

心の柔軟性を保つにはどうすればよいのか?

これらの疑問に答えながら、心の柔軟性についてお伝えします。

ストレスの感じ方の差は、心の柔軟性の差

同じ状況にいても、ストレスを感じない人と感じる人がいます。

たとえば、納期間近に大きなミスが見つかった場合、ストレスの感じ方に差があります。

あなたに近い考えは次の3つのうち、どれでしょうか?

(1)「なぜミスしたんだろう。どうしよう…間に合わないかもしれない」
(2)「間に合わないかもしれない。修正しながら、場合によっては取引先に連絡しよう」
(3)「納期は近いけど、急いで修正すれば間に合う」

(1)を選んだ人は強いストレスを感じています。

状況をマイナスにとらえ、「自分にはできないかも」

と思っているため、強いストレスに感じます。

 

一方、(2)(3)を選んだ人はあまりストレスを感じていません。

(2)を選んだ人は状況に対応し、適切な行動をとろうとするため、

あまり強いストレスは感じません。

(3)を選んだ人は「自分にはできる」と思い、状況を悲観していません。

ほとんどストレスを感じず、最善を尽くすために動きます。

 

同じ状況なのに、なぜストレスを感じない人、感じる人がいるのでしょうか?

両者の大きな違いは「心の柔軟性」の違いです。

 

心に柔軟性があればストレスを感じにくい

心に柔軟性があると、柔軟に物事を考えようとします。

悪い状況でさえも振り回されず、とらわれず、

多様な視点で物事を考えられるのです。

 

ネガティブな状況でも、ポジティブな面を見つけ出し、

場合によっては発想の転換で逆境をうまく乗り越えられます。

 

危機感を覚えるような状況でも楽観的にとらえるため、

ストレスを感じにくいのです。

心に柔軟性がある人は、楽観的ともいえるでしょう。

 

心の柔軟性とは何事にもとらわれない心

心の柔軟性とは何か、明確な定義があるわけではありません。

禅の「柔軟心(にゅうなんしん)」という言葉がヒントになります。

 

“柔軟心とは

「固定観念や先入観、思い込みといったものにとらわれない心理状態」

を意味する”

引用元:『柔軟心をつかう習慣ー思い込みにさようなら』植西 聰 著

心の柔軟性は「何事にもとらわれない心」

と言い換えられるでしょう。

前述した、納期間近にミスが見つかった例を再度考えてみます。

 

ミスにとらわれている人はストレスを感じ、

心の柔軟性はさほどありません。

「間に合わないかもしれない」という気持ちも強く、

先入観にとらわれているとも考えられます。

 

反対にミスにとらわれない人は、心の柔軟性があるといえます。

余計な先入観や思い込みがないため、ストレスを感じず、

改善策を進められるのです。

 

前頭葉が萎縮すると、心の柔軟性が低下

心の柔軟性は脳にある「前頭葉」という部分が関係しています。

前頭葉は感情や意欲などをつかさどる部分です。

・感動する
・好奇心をもつ
・やる気を出す

前頭葉はこういった、気持ちをコントロールする役割を

担っています。

 

前頭葉が萎縮してしまうと次のような症状があらわれ、

心の柔軟性の低下につながります。

・怒りが収まらない
・気持ちを切り替えにくい

ストレスを感じやすくなる上、ストレス解消も難しくなります。

しかも、前頭葉は脳の他の部位よりも老化が早く、

萎縮を放置すると老化はどんどん進行してしまいます。

 

前頭葉の萎縮により心の柔軟性が低下すると、ストレスが溜まり、

「やる気が出ない」「感動しない」などの症状もあらわれます。

 

見逃せない、ストレス限界サイン

ストレスが溜まっていると自覚し、

「今日は外で食事をしよう」「次の休みはゆっくり過ごそう」

と意識してストレスを発散する人もいるでしょう。

 

しかし、なかにはストレスの症状だと気づかず、

いつのまにか限界近くまでストレスを溜めている人もいます。

ストレスに無自覚な人は病気を発症する可能性が高いため、注意が必要です。

 

チェックシートでストレスの度合いを確認

ストレスが溜まると起こる症状は、ストレスチェックシートで分かります。

以下はストレスの度合いを簡単に診断できるチェックシートです。

あてはまる項目の数を数えてみてください。

1.イライラしている
2.朝起きるとグッタリした疲れを感じる
3.不安だ
4.落ち着かない
5.憂うつだ
6.何をするのも面倒だ

このストレスチェックシートでは、ストレスによる心理状況をみています。

3つ以上あてはまる人は黄色信号です。

今後、気持ちのコントロールがきかなくなる可能性があります。

 

ストレスが限界に達した時に出る症状

「ストレスが溜まっているのは分かっているけど、なかなか休めない」

という人もいるでしょう。

しかし、ストレスに対応できず限界に達すると、

病気にかかる場合があります。

 

以下はストレスが限界に達した時の代表的な病気と症状です。

・うつ病…気分が落ち込み、意欲が低下する。何をしても楽しくない。
・双極性障害(躁うつ病)…活動的な状態と、無気力な状態を繰り返す。
・統合失調症…幻覚や妄想、顔の表情が乏しくなるなどの症状がみられる。

心の柔軟性を失った場合も、

同じような症状があらわれる可能性があります。

ストレスが限界に達して発症すると、

カウンセリングや薬物治療が必要です。

 

次のいずれかの症状が2週間以上続いている人は、

うつ病の疑いがあるため、

早めに医師に相談することをおすすめします。

・寝付きが悪い
・これまで楽しんでいたことを楽しめない
・集中力が低下している
・自分を「役に立たない人間」と思う

 

心の柔軟性を保つために

前頭葉が萎縮すると心の柔軟性が低下し、ストレスを感じやすくなります。

前頭葉の萎縮を防ぐためには「ドキドキ」や「ワクワク」を与え、

前頭葉を刺激することが大切です。

 

ストレスを溜めて心や身体に不調をきたす前に、

前頭葉を刺激して心の柔軟性を保ちましょう。

心の柔軟性を保つためにおすすめの方法を、以下でご紹介します。

 

自分が楽しいと思うことを始める

前頭葉は「ときめき」を好みます。

楽しいことから遠ざかると前頭葉は衰え、

心の柔軟性が低下します。

 

友達や家族を優先し、

「自分が」楽しいと思うことを控えていませんか?

ドキドキワクワクするような、

自分が楽しいと思えることを始めてみましょう。

 

昔に「楽しんでいた趣味」「夢中になっていたこと」が

何かあれば、再開してみてください。

特に次の行動は前頭葉を刺激し、おすすめです。

・読書・外国語学習・囲碁・将棋
・通信教育の受講・音楽や絵画などの芸術に触れる

ストレス解消になり、気分もすっきりするでしょう。

コロナ禍でも楽しいことをして過ごせば、

心の健康につながります。

 

初めての食事や場所にチャレンジする

特に趣味がない人は、日常生活に少し変化を加えてみましょう。

たとえば、「普段は食べないような料理を作る」

「いつもなら歩かない道を通る」など、

行動を少し変えてみてください。

 

ドキドキやワクワクを感じ、前頭葉が刺激されます。

ストレス解消法としてもおすすめです。

 

失敗を恐れずに、いろんな料理や場所に興味を持ち、

新しいことにチャレンジしてみてください。

 

情報に振り回されない

インターネットが普及し、情報過多で

ストレスを感じている人は少なくありません。

情報を処理するのは前頭葉の役目です。

 

情報過多だと前頭葉で情報を処理しきれず、

ゴミ屋敷のように情報を溜め込んでしまいます。

前頭葉の機能が下がると、心の柔軟性の低下を

招きやすい状態になります。

 

息抜きにスマホを見るのが習慣になっている人は、

特に注意してください。

スマホは色や光、文字など情報量が多いため、

脳に負担がかかります。

トイレや入浴時にスマホを使うのは控え、

スマホを手放す時間を作りましょう。

 

仕事中なら2〜3分ほど目を閉じ、

リラックスしてみてください。

目を閉じると脳に入る情報を80%カットできます。

 

皿洗いやゴルフの素振り、

散歩などの単調な運動を行うことも効果的です。

 

また、ネガティブな情報に触れると、

不安感が大きくなります。

意識して情報を取捨選択することも重要です。

「自分とは直接関係ない」と思う情報からは距離を置きましょう。

 

コロナ禍で必要以上にネガティブな情報を取り入れると、

より不安に感じてしまいます。

自分の心に意識を傾けてみる

新型コロナウイルスを気にせず過ごせる日は、

いつ訪れるのか分かりません。

これまでとは異なる生活様式に戸惑い、

普段以上にストレスを感じる人もいるでしょう。

改めて自分の心やストレスについて

今一度考える機会にしてみませんか?

 

心に柔軟性があると、ピンチに陥っても

状況や先入観にあまりとらわれません。

焦ったり、悲観的になったりせず、

ストレスをさほど感じません。

 

心の柔軟性に関わっているのは脳の前頭葉です。

ドキドキワクワクするようなことを続ければ、

前頭葉が刺激され、心の柔軟性の低下を防げます。

ストレス解消にもおすすめです。

 

自分の心に意識をかたむけ、心の柔軟性を保てば、

ストレスの度合いを小さくできるでしょう。

心の柔軟性をなくさないために、「自分が楽しいと思うこと」や

「夢中になれること」にぜひ目を向けてみてください。

 

<参考文献>
・心のケアの基本(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/003.htm

・働く人のメンタルヘルスチェック(全国健康保険協会 東京支部)https://kenkousupport.kyoukaikenpo.or.jp/sp/check/mental/q02.html

・心の柔軟性の保ち方(東京都老人総合研究所 矢冨直美氏)
https://www.white-family.or.jp/healthy-island/htm/repoto/repo-to143.htm

・心のゆとりの基礎研究(広島大学心理学研究)
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/4/42600/20170323095246555883/HPR_16_35.pdf

・「感情の老化」を防ぐ本(和田秀樹 著)
https://serai.jp/health/362967
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO90410870R10C15A8000000/

・東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kensui/kokoro/

・こころの病気を知る 病名から知る(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease.html

・ストレスからくる病(厚生労働省)
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/

・こころの健康って?(東邦大学 健康推進センター)
https://www.health-care-center.toho-u.ac.jp/omori/student/sidereader.html

・自分の心の健康を守るため、新型コロナウイルスとどうつきあうか?(一般社団法人 日本産業カウンセラー協会)https://www.counselor.or.jp/covid19/covid19column3/tabid/508/Default.aspx

・新型コロナウイルス感染症に関した話題(特定医療法人 恵和会 石東病院)
https://keiwakai-ohda.jp/byoin/greeting/incho_blog/category6/187

・情報過多とストレスとの関係(医療法人社団 平成医会)
https://heisei-ikai.or.jp/column/jyoho-kata/

・いつもスマホが招く脳疲労 物忘れが増えたら要注意(ヘルスUP健康づくり NIKKEI)https://style.nikkei.com/article/DGXKZO55868550Q0A220C2W10600/

 

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